この方法には重要な制限があります。「ファイル履歴」機能や「システムの保護」機能が事前に有効化されていることが前提となります。これらの機能がオフになっていた場合、「利用可能な以前のバージョンはありません」と表示され、この方法では復元できません。
デジタルカメラやスマートフォン、ゲーム機などで広く使われているSDカードは、手軽に大容量のデータを持ち運べる便利な記録メディアです。しかし、誤ってデータを削除してしまったり、SDカードをフォーマット(初期化)してしまったり、あるいはカードが破損したりして、大切なデータが突然消えてしまうことがあります。
高額な費用をかけてデータ復旧業者に依頼する前に、まずは費用をかけずに自力でSDカードのデータを復元できる方法を試してみることをおすすめします。本記事では、その具体的な手順と、おすすめのSDカード復元フリーソフトをご紹介します。
- Part1.   SDカードは自分で復元できるか?
- Part2.   方法1.Windowsの標準機能「以前のバージョン」を使う
- Part3.   方法2.無料のSDカードデータ復元ソフトを使う HOT
- Part4.   よくある質問
- Part5.   まとめ
目次
SDカードは自分で復元できるか?
結論から言えば、多くの場合、自力でSDカードのデータを無料で復元することは可能です。SDカードからファイルを削除しても、実際にはデータ本体が完全に消去されるわけではありません。削除されたファイルは「不要ファイル」としてマークされ、その領域が新しいデータで上書きされるまでは、SDカード内に残り続けています。
ただし、復元が可能かどうかは以下の条件によって大きく変わります。
- ①削除後の使用状況:データを削除した後、SDカードに新しいファイルを保存していない場合は、復元の成功率が高くなります。新しいデータを書き込むと、削除されたファイルのデータが上書きされてしまう可能性があります。
- ②SDカードの状態:物理的な損傷がなく、正常に認識される状態であれば、復元ソフトを使って自力で復元できる可能性が高いです。
- ③削除からの経過時間:削除してから時間が経過していない方が、復元の成功率は高くなります。
SDカードのデータを自力で復元する方法には、Windowsの標準機能を使う方法と、無料のデータ復元ソフトを使う方法があります。次のセクションで、それぞれの方法について詳しく解説していきます。
方法1.Windowsの標準機能「以前のバージョン」を使う
Windowsには「以前のバージョンに戻す」という標準機能が搭載されており、これを使ってSDカードのデータを無料で復元できる場合があります。この機能は、Windowsが自動的に作成する復元ポイントやファイル履歴を利用して、ファイルやフォルダを過去の状態に戻すことができます。
「以前のバージョン」機能を使った復元手順:
- SDカードをパソコンに接続します。
- エクスプローラーでSDカードを開き、復元したいファイルまたはフォルダがあった場所を右クリックします。
- 表示されるメニューから「プロパティ」を選択します。
- 「以前のバージョン」タブをクリックします。
利用可能なバージョンの一覧が表示されます。復元したい時点のバージョンを選択し、「復元」ボタンをクリックします。
また、USBメモリやSDカード単体では履歴が残らないケースも多いため、この方法はあくまで補助的な手段として考えるべきです。確実にSDカードのデータを復元したい場合は、次にご紹介する無料の復元ソフトを使用することをおすすめします。
無料のSDカードデータ復元ソフトを使う
Windowsの標準機能で復元できない場合でも、専用のSDカード復元フリーソフトを使えば、SDカードから削除されたデータを取り戻せる可能性があります。これらのソフトの多くは、誤削除だけでなく、SDカードのフォーマット後の復元といった状況にも対応しています。ここでは、特におすすめのSDカード復元フリーソフトを3つ、ランキング形式でご紹介します。
第一位:4DDiG Free
4DDiG Freeは、初心者でも簡単に使える高性能な無料データ復元ソフトです。WindowsとMacの両方に対応しており、SDカードをはじめ、USBメモリ、外付けHDD、内蔵ドライブなど、2,000種類以上のストレージデバイスからデータを復元できます。
4DDiG Freeの主な特徴:
- 写真、動画、音楽、ドキュメントなど1000種類以上のファイル形式に対応
- 高速スキャンで短時間でデータを検出
- 復元前にファイルをプレビュー確認できる
- 直感的なインターフェースで初心者でも使いやすい
- 無料版では最大2GBまでのデータを復元可能
4DDiG Freeを使ったSDカード復元の手順:
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データ復元ソフト4DDiG Freeを起動し、復元したいSDカードをパソコンに接続します。ホーム画面で「SDカード」を選択します。「スキャン」をクリックします。(初めは500MB無料、SNSへ共有してさらに1.5GBの無料復元量を取得)
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しばらく待つと、指定した場所にあるすべてのファイルが表示されます。復元前にプレビュー機能を提供します。写真、ビデオ、ムービー、オーディオ、音楽、ドキュメントなど、さまざまなファイルをプレビューできます。
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右下の「復元」をクリックし、復元したファイルの保存場所を選択し、例えばOneDriveとGoogle Drive、Dropboxなどのクラウドディスクに保存することを検討してください。
保存パスを元の場所(SDカード)に設定すると、データが上書きされて復元できなくなる恐れがあります。必ず別の場所に保存してください。
第二位:Recuva
Recuvaは、Piriform社が提供する有名な無料データ復元ソフトです。シンプルな設計と使いやすいインターフェースで、長年多くのユーザーに支持されています。
Recuvaの主な特徴:
- 無料無制限にSDカードデータを復元できる
- ウィザード形式で初心者でも簡単に操作できる
- 通常スキャンとディープスキャンの2つのモードを搭載
- 動作が軽量でシステムリソースをほとんど使用しない
- 日本語に対応している
Recuvaの使い方:
- Recuvaを起動し、ウィザード画面で復元したいファイルの種類を選択します。
- 復元対象のSDカードを選択し、「次へ」をクリックします。
- スキャン方法(通常またはディープスキャン)を選び、「開始」ボタンを押します。
- スキャン結果から必要なファイルを選択し、保存先を指定して復元します。
Recuvaは完全無料で使えるのが最大の魅力ですが、最新のファイルシステムや複雑な破損状況への対応は、有料ソフトに比べるとやや劣る場合があります。それでも、軽度のデータ消失であれば十分に対応できる優れたソフトです。
第三位:Disk Drill
Disk Drillは、美しいユーザーインターフェースと充実したプレビュー機能が特徴の復元ソフトです。Mac版とWindows版の両方が提供されており、幅広いファイルシステムに対応しています。
Disk Drillの無料版では、最大500MBまでのデータしか復元できないという容量制限があります。スキャンとプレビューは無制限で利用できますが、それ以上のデータを復元するには有料版の購入が必要です。また、スキャンに時間がかかる場合があるため、大容量のSDカードの場合は注意が必要です。
Disk Drillの主な特徴:
- 洗練されたUIで直感的に操作できる
- 400種類以上のファイル形式に対応
- クイックスキャンとディープスキャンを搭載
- スキャン結果の保存と再開が可能
- データ保護機能(Recovery Vault)で今後のデータ消失を予防
Disk Drillの使い方:
- Disk Drillをダウンロードしてインストールし、ソフトを起動します。
- SDカードをパソコンに接続し、Disk Drillの画面でSDカードを選択します。
- 「失われたデータを検索」ボタンをクリックして、スキャンを開始します。
- スキャンが完了したら、復元可能なファイルが一覧表示されます。ファイルをクリックしてプレビューで内容を確認できます。
- 復元したいファイルにチェックを入れ、「復元」ボタンをクリックします。保存先を指定して復元を完了します。
よくある質問
はい、無料でSDカードのデータを復元することは可能です。4DDiG Free、Recuva、Disk Drillなどの無料復元ソフトを使えば、削除されたファイルや誤ってフォーマットしてしまったデータを復元できる可能性があります。ただし、無料版には復元容量の制限がある場合や、物理的に損傷したSDカードには対応できないなどの制限もあります。データが上書きされる前に、できるだけ早く復元作業を行うことが重要です。
はい、カメラのキタムラではSDカードのデータ復旧サービスを提供しています。店舗で無料診断を受けることができ、復旧可能かどうかを確認してもらえます。ただし、実際の復元作業は有料となり、復旧するデータの容量や難易度によって料金が変動します。自力での復元が難しい場合や、物理的に損傷したSDカードの場合は、このような専門業者に依頼することも一つの選択肢です。
完全に無制限で復元できる無料ソフトは少ないですが、Recuvaは完全無料で容量制限なく使用できます。4DDiG Freeは無料版で最大2GBまで復元可能で、SNSでシェアすることでさらに復元容量を増やすことができます。PhotoRecも完全無料で容量制限はありませんが、コマンドライン操作が必要なため初心者には難しいかもしれません。大量のデータを復元したい場合は、これらのソフトの有料版を検討するか、複数の無料ソフトを組み合わせて使用することをおすすめします。
まとめ
SDカードから削除されたデータは、適切な方法を使えば無料で復元できる可能性が十分にあります。本記事では、Windowsの標準機能「以前のバージョン」を使う方法と、無料の復元ソフトを使う方法をご紹介しました。
特におすすめなのは、4DDiG Freeです。高速スキャン、豊富なファイル形式への対応、復元前のプレビュー機能など、初心者でも使いやすい機能が充実しています。無料版でも最大2GBまでのデータを復元でき、操作が簡単で復元成功率も高いため、誤削除やSDカードのフォーマット後の復元といった状況で非常に役立つでしょう。