保存パスを元の場所(SDカード)に設定すると、データが上書きされて復元できなくなる恐れがあります。必ず別の場所に保存してください。
デジタルカメラやスマートフォンで日々利用するSDカード。大切な写真や画像の保存に欠かせませんが、誤ってデータを削除してしまったり、カードが破損して読み込めなくなったりといったトラブルは少なくありません。
高額な専門業者に依頼する前に、まずは自力でSDカードの写真復元に挑戦したいという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、無料で使えるSDカード画像復元フリーソフトを厳選し、復元容量や復元成功率、操作性といった観点から徹底的に比較します。また、おすすめのSDカードの復元方法として、具体的な手順もご紹介します。
SDカード画像復元ソフトを選ぶ際の重要ポイント
SDカードの画像復元フリーソフトを選ぶ際は、以下の5つのポイントに注目しましょう。これが、あなたのデータ復旧の成功を左右するカギとなります。
無料版の復元容量制限
多くのSDカード復元フリーソフトには、無料で復元できるデータ容量に上限が設けられています。
- 例えば、500MBまで、1GBまで、といった制限です。
- 大量の写真や高解像度の画像を復元したい場合は、この制限が実質的なネックとなるため、無料容量が大きい、または制限のないソフトを選ぶのがおすすめです。
対応ファイル形式
SDカードに保存されている画像ファイルの形式は様々です。一般的なJPEGやPNGだけでなく、デジタルカメラのRAWファイル(CR2、NEF、ORFなど)にも対応しているかどうかを確認しましょう。また、動画やドキュメントファイルも一緒に復元したい場合は、対応ファイル形式が幅広いソフトを選ぶと便利です。
対応デバイスと対応OS
SDカード復元ソフトを選ぶ際は、自分のパソコンのOSに対応しているかを確認しましょう。WindowsとMacの両方に対応しているソフトもあれば、Windows専用のものもあります。また、SDカードだけでなく、microSD、CFカード、USBメモリなど様々なリムーバブルメディアに対応しているかも重要なポイントです。
復元成功率
データ復元ソフトによって復元成功率は異なります。高い復元率を実現するためには、ディープスキャン機能やファイルカービング技術を搭載したソフトを選ぶことをおすすめします。公式サイトの謳い文句だけでなく、実際に利用したユーザーのレビューや窓の杜などの信頼できる情報源での評価を参考に、復元成功率が高いと評判のソフトを選びましょう。
操作の簡単さ
初心者の方は、直感的に操作できるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を持つソフトを選びましょう。ウィザード形式で手順を案内してくれるソフトや、日本語対応のソフトであれば、専門知識がなくても簡単にSDカードの画像を復元できます。一方、コマンドライン操作が必要なソフトは上級者向けとなります。
【比較表】SDカード画像復元フリーソフト10選
SDカードの写真を無料で復元できるフリーソフト10選を比較表にまとめました。各ソフトの無料版で使える容量や対応OS、主な特徴を一目で確認できます。
- ソフト名
- 無料版容量
- 特徴
- おすすめ度
- PhotoRec
- 無制限
- 画像・動画ファイルの復元に特化。CUI操作。
- ★★★★☆
- Recuva
- 無制限
- ポータブル版あり、日本語対応
- ★★★★★
- 4DDiG Free
- 2GB
- AI技術で高精度な復元を実現。最新OS対応。
- ★★★★☆
- Wise Data Recovery
- 2GB
- 動作が高速。シンプルで一画面完結の操作性。
- ★★★★☆
- USBメモリ復旧
- 無制限
- USBメモリ・SDカード専用の無料ソフト
- ★★★☆☆
- TestDisk
- 無制限
- パーティション復元にも対応。上級者向け。
- ★★★☆☆
- Disk Drill
- 500MB
- 多機能で様々なデバイスに対応
- ★★★☆☆
- DiskDigger
- 制限あり
- 外部ストレージからの復元に特化
- ★★★★☆
- Pandora Recovery
- 無制限
- 詳細な検索オプションを備える。
- ★★★☆☆
- MiniTool Photo Recovery
- 制限あり
- 写真・動画の復元に特化
- ★★★★☆
SDカード画像復元フリーソフトの詳細レビュー
特に評価の高い、主要な5つのSDカード画像復元フリーソフトについて詳しく解説します。各ソフトの特徴やメリット・デメリットを理解して、最適なソフトを選びましょう。
第1位:PhotoRec - 画像ファイルの復元に特化した無料ツール
PhotoRecは、オープンソースで開発されている完全無料のデータ復元ソフトです。無料で復元容量の制限がない点が最大の魅力です。名前の通り、写真や動画などのメディアファイル復元に非常に強く、ファイルシステムに依存せずに動作します。
対応ファイルシステムはFAT、NTFS、exFAT、ext2/ext3/ext4、HFS+など多岐にわたり、復元できるファイル形式も非常に豊富です。JPEGやPNGなどの一般的な画像ファイルはもちろん、各種RAWデータ、ドキュメント、ZIPファイルなど、ほとんどの種類のファイルを復元できます。
ただし、操作がCUI(キャラクターユーザーインターフェース)ベースとなるため、PC操作に慣れていない方には少しハードルが高いかもしれません。
長所
- 完全無料で容量制限なし
- 非常に高い復元能力を持つ
- 幅広いOSとファイルシステムに対応
- フォーマット後のデータも復元可能
短所
- コマンドライン操作で初心者には難しい
- ファイル名が復元されない
- 特定のファイルだけを選んで復元できない
第2位:Recuva - インストール不要のポータブル版あり
Recuvaは、イギリスのPiriform社が開発したWindows向けの無料ファイル復元ソフトです。窓の杜でも紹介されている定番ソフトで、日本語にも対応しているため、日本のユーザーに非常に人気があります。
Recuvaの大きな特徴は、通常のインストール版に加えてポータブル版が用意されていることです。ポータブル版はUSBメモリから直接起動できるため、Cドライブのデータを復元する際にインストールによる上書きリスクを避けられます。
操作はウィザード形式で案内されるため、初心者でも簡単に使えます。復元したいファイルの種類(画像、音楽、ドキュメントなど)と保存場所を選択するだけで、自動的にスキャンが開始されます。スキャン結果では、各ファイルの復元可能性が色分けで表示されるため、復元できる可能性が高いファイルを一目で判断できます。
無料版でも復元できるデータ容量に制限がなく、基本的なファイル復元機能をフルに使えるのも魅力です。ただし、有料版では仮想ハードドライブのサポートや自動アップデート、プレミアムサポートなどの追加機能が利用できます。
長所
- 無料版でも容量制限なし
- ポータブル版で上書きリスクを回避
- 日本語対応で使いやすい
- 復元可能性を色分けで表示
短所
- Windows専用(Mac非対応)
- 光学ドライブには非対応
- 最終更新が2016年でやや古い
第3位:4DDiG Free - AIが高精度な復元を実現
4DDiG Freeは、最新のAI技術を取り入れた高い復元成功率が特徴のソフトです。AI技術を搭載した高速スキャン機能により、短時間で効率的なデータ復元を実現しています。
4DDiG Freeの無料版では、SNSでシェアすることで最大2GBまでのデータを無料で復元できます。この2GBという容量は、一般的な写真やExcelファイルはもちろん、5分程度の4K動画にも対応できる十分な容量です。対応ファイル形式は2,000種類以上と業界トップクラスで、ほぼすべての種類のファイルを復元できます。
対応デバイスも幅広く、内蔵/外付けHDD、SSD、USBメモリ、SDカード、デジカメ、ドローンなど様々なストレージデバイスからデータを復元できます。WindowsとMacの両方に対応しているのも大きな魅力です。
長所
- AI搭載で高速・高精度な復元
- 2,000種類以上のファイル形式に対応
- Windows/Mac両対応
- 直感的で使いやすいUI
- プレビュー機能で確認可能
短所
- 無料版は2GBまでの容量制限
- 一部の高度な機能は有料版のみ
第4位:Wise Data Recovery - 一画面完結型
Wise Data Recoveryは、WiseCleaner社が開発したシンプルで使いやすいファイル復元ソフトです。有名な無料PC高速化ソフト「Wise Care 365」を提供している会社の製品で、信頼性が高いです。
このソフトの最大の特徴は、一画面完結型のシンプルな設計です。復元したいドライブを選択してスキャンボタンを押すだけで、高速にスキャンが完了し、復元可能なファイルの一覧が表示されます。ファイルの状態は復元できる可能性によって4段階(Good、Poor、Very Poor、Lost)に色分けされるため、一目で判断できます。
無料版では2GBまでのデータを復元でき、ごみ箱から削除したファイル、Shift+Deleteで完全削除したファイル、ドライブのフォーマットやシステムクラッシュで失われたファイルなどを復元できます。対応デバイスも幅広く、パソコンの内蔵HDD/SSDだけでなく、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、デジカメ、スマホ、MP3プレーヤーなどからも復元可能です。
ポータブル版も用意されているため、USBメモリから直接起動して使用することもできます。日本語にも対応しており、起動後に設定画面から簡単に言語を切り替えられます。
長所
- シンプルで直感的なUI
- 高速なスキャン速度
- ポータブル版あり
- 日本語対応
- 復元可能性を4段階で表示
短所
- 無料版は2GBまでの制限
- Windows専用(Mac非対応)
- ディープスキャン機能は有料版のみ
第5位:USBメモリ復旧 - USBメモリの復元に特化した無料ソフト
復旧天使のUSBメモリ復旧は、日本の株式会社LIVEDATA(ライブデータ)が開発した、リムーバブルストレージ専用の無料データ復旧ソフトです。個人利用であれば、回数や容量に関わらず完全無料で使用できます。
このソフトの最大の魅力は、USBメモリやSDカード、CFカードなどのリムーバブルメディアに特化していることです。対象メディアを選択するだけでスキャンが始まる簡単操作で、初心者でも迷わず使えます。スキャン完了後は、復旧したいファイルを選択して保存するだけです。
対応ファイルシステムはFAT/exFAT形式となっており、一般的なSDカードやUSBメモリで広く使われているフォーマットに対応しています。なお、NTFS(Windows)やHFS+(Mac)形式で初期化されたメディアを復旧する場合は、同社の有料版「復旧天使」シリーズを使用する必要があります。
日本製のソフトウェアなので、ヘルプ情報やサポートが充実しており、日本語環境での使用に最適化されています。容量制限がなく完全無料で使えるため、SDカードやUSBメモリのデータ復旧を試したい場合に最初に試すべきソフトの一つです。
長所
- 個人利用は完全無料・容量無制限
- 日本製でサポートが充実
- 簡単操作で初心者向け
- SDカード・USBメモリに特化
短所
- FAT/exFAT形式のみ対応
- Windows専用
- 内蔵HDDなどには非対応
SDカード画像の復元手順
SDカードから画像を復元する方法は、使用するソフトによって異なりますが、基本的な流れは共通しています。ここでは、高い評価と使いやすさを兼ね備えた4DDiG Freeで画像を復元する手順を例に解説します。
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データ復元ソフト4DDiG Freeを起動し、復元したいSDカードをパソコンに接続します。ホーム画面で「SDカード」を選択します。「スキャン」をクリックします。(初めは500MB無料、SNSへ共有してさらに1.5GBの無料復元量を取得)
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しばらく待つと、SDカードから消えた画像などのデータが表示されます。復元前にプレビュー機能を提供します。写真、ビデオ、ドキュメントなど、さまざまなファイルをプレビューできます。
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右下の「復元」をクリックし、復元したファイルの保存場所を選択し、例えばOneDriveとGoogle Drive、Dropboxなどのクラウドディスクに保存することを検討してください。
まとめ
本記事では、SDカードから削除した写真や画像を無料で復元できるフリーソフト10選を紹介しました。各ソフトにはそれぞれ特徴があり、無料版の容量制限、対応OS、操作の簡単さなどが異なります。
完全無料で容量制限なく使いたい場合は、PhotoRecやUSBメモリ復旧がおすすめです。ただし、PhotoRecはコマンドライン操作が必要なため、初心者には難しい面があります。
初心者でも簡単に使いたい場合は、日本語対応でUIが分かりやすい4DDiG Freeが最適です。AI技術を搭載した高速・高精度なスキャン機能により、短時間で効率的にSDカードの画像を復元できます。
SDカードのデータが消えてしまったら、まずは落ち着いて書き込みをやめ、できるだけ早く復元ソフトを使って復元作業を行いましょう。削除直後であれば、データが上書きされていない可能性が高く、復元成功率も高まります。